2022-2023年度
NAGOYA Movement 成果報告

成果報告会(2024/3/19)

「NAGOYA Movement」は、スタートアップ企業と事業会社とのマッチングと、その後の事業創出をサポートするプログラムです。今回のイベントでは、本プログラムに参加した、6社の東海地域の事業会社が、スタートアップ共創事例や共創ノウハウ、今後の方針などを発表を行いました。

成果事例

株式会社中日新聞社×ためま株式会社

身近な子育て情報がすぐに見つかり地域とつながるメディアの実証実験を名古屋市西区で行い、新たな収益モデルを模索しています。ためま株式会社が地域情報発信ツール「ためまっぷ」のシステムを提供し、中日新聞社が情報の収集とメディアへの投稿、子育て世代への普及活動に取り組み閲覧ユーザーを獲得します。ためまは主に自治体からの受託で収益を得ていますが、このほかにも閲覧ユーザーの属性に合わせた地域広告など新たな収益モデルをつくり、メディアの利用可能エリアを広げたいと考えています。

成果創出のポイント

事業会社視点実現したい未来の共有

ネットの時代でも地域の情報がほしい人にもれなく届き、人々がつながり地域の暮らしが豊かになる。今回、一緒に実現したい未来を共有することが大切だと感じました。目的に向かって知恵を絞り、互いにできることを一つひとつ積み重ねていく姿勢が、さまざまな壁を乗り越えるためには欠かせないと考えています。

中日新聞社 経営企画室 新規事業部

スタートアップ視点ビジョン共有と明確な役割分担

課題解決イメージや目指すゴールを擦り合わせた上で、実証実験内でやること・やらないこと(やりたくないこと)を初期段階で話しておくと、温度感やスピード感が分かりスムーズに連携できるように思います。また、お互いの得意分野と役割分担を明確にすることで、連携企業間に信頼感と責任感が生まれると感じます。

ためま株式会社 代表 清水義弘

株式会社アクトス×株式会社Opt Fit

株式会社アクトスが運営するスポーツクラブに設置されているカメラ映像をAIで解析し、トレーニングマシンの利用率やその他設備の利用状況を可視化します。
これらの解析結果から、クラブ運営の最適化と顧客満足度向上につなげます。
※株式会社アクトスは、株式会社バローホールディングスのグループ会社として参画しています。

成果創出のポイント

事業会社視点イメージの共有と理解

スタートアップのソリューションを利用することで何を得て、その結果として何を実現したいのかをお互いに理解することが必要です。
社内での当たり前(用語・速度感)は排除して会話ができることでより結果イメージが鮮明になりスムーズに進めることができます。

バローホールディングス システム部

スタートアップ視点外部アセットにアンテナを張る
  • 自社ソリューションの大きな方向性の決定。
  • ソリューションを達成するために必要なアセットを整理。
  • 外部アセットが必要な場合に、外部アセットを提供している企業や団体にアンテナを張る。

代表取締役 渡邉昂希

日本ガイシ株式会社×株式会社ファイトリピッド・テクノロジーズ

日本ガイシはカーボンニュートラルに関する協業テーマとして、CO2を吸収する微細藻類を扱った事業をするファイトリピッド・テクノロジーズ(PLT)と協業検討しています。微細藻類の生産における回収プロセスにて固液分離を行うため、PLT社が扱う微細藻類(ナンノクロロプシス)に対して弊社のセラミックフィルターを活用することで大量生産でも安定的に処理できると想定されました。実際に共同で行った実証実験では、PLT社が求めた基準を満たしたため、サプライヤーとしての協業を検討しています。

成果創出のポイント

事業会社視点共に成長するパートナーシップ

スタートアップと事業会社が連携する場合、事業の内容だけではなく、プロジェクトのスピードなどの進め方においても、寄り添い合って特長を活かすことが重要です。特に事業会社側は、担当者個人ではなく、組織レベルで社内の規則や慣習の変更も含めて積極的に改善することで、共に成長していく必要があると考えられます。

日本ガイシ株式会社 コーポレートベンチャリング

スタートアップ視点Win-Winなアライアンス関係

共同研究契約締結等でお互いが持っていない技術や装置、設備を提供し合い、対等な立場で事業化検討のためのアライアンスを組んでいただけることが重要なポイントだと考えている。

株式会社ファイトリピッド・テクノロジーズ

日本ガイシ株式会社×株式会社Dynagon

日本ガイシは短時間で狙いの材料を創出するため、マテリアルインフォマティクスの構築を行っています。元情報となるデータベースに大量のデータを取り込む必要があり、バラバラなフォーマットから必要な情報だけを短時間で抽出する作業に課題がある。Dynagon社のLLM(大規模言語モデル)などを活用した技術にて、まずは論文のエリア定義やプロンプトエンジニアリングによる必要情報の抜き取りが可能か検証しています。課題が解決されれば、ソフトウェアとして社内で活用していく計画です。

成果創出のポイント

事業会社視点共に成長するパートナーシップ

スタートアップと事業会社が連携する場合、事業の内容だけではなく、プロジェクトのスピードなどの進め方においても、寄り添い合って特長を活かすことが重要です。特に事業会社側は、担当者個人ではなく、組織レベルで社内の規則や慣習の変更も含めて積極的に改善することで、共に成長していく必要があると考えられます。

日本ガイシ株式会社 コーポレートベンチャリング

スタートアップ視点明確な意思の表現と深い関係構築

ただ接点を持つだけでなく、具体的な課題提起や、ミーティングで「実現したいこと」を資料で共有して頂けたので、技術開発に集中できます。
事業会社の工場見学や複数社員と直接対話することで、企業文化や価値観を理解することができた、良い協業を行うためには、こうした深い関係が必須だと考えています。

株式会社Dynagon

その他の成果事例

  • 中部電力株式会社とシェアサイクル「チャリチャリ」を運営するneuet株式会社がクーポン配布等で連携しました。
  • 日本ガイシ株式会社は、カーボンニュートラル関連事業スタートアップ1社と情報交換を進めています。
  • 矢崎エナジーシステム株式会社は
    • ガス漏れ警報器の付加価値向上機能開発にむけて、スタートアップとのPoC準備を進めています。
    • 各種センシングシステムの将来的な量産化について、スタートアップとの協業を進めています。

運営事業者総括

スタートアップとの共創を実現するためには「やりたいこと(ビジョン)の言語化」「スタートアップに歩み寄る組織体制の構築」「共創と事業作りを諦めない情熱とチャレンジ」が必要と考えております。他方で事業会社がこれらの要素を整備することが難しいことも理解ができます。本事業はそのような事業会社の現状を変えながら、スタートアップとの共創による新規事業創出等を目指して、共創ビジョン作りから着手し、スタートアップマッチング、マッチング後の伴走支援を進めてまいりました。

本事業では共創による新規事業創出につながる事例も生まれましたが、様々な失敗も経験いたしました。そのような失敗の中で「ビジョン」「柔軟な組織体制」「チャレンジ精神」の重要性に気づき、ご共感いただくことができました。本事業で大切にしていたことを各事業会社様にお持ち帰りいただけたのだと嬉しく思っています。 ご参加いただきました各事業会社様、事業会社との様々な連携を図ってくださった多くのスタートアップ企業の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

責任者:
JellyWare株式会社 代表取締役 崔 熙元
リードPM:
JellyWare株式会社 後藤侑祐

イベント・勉強会

事業会社が設定したスタートアップ募集テーマを紹介するピッチイベントを開催。スタートアップ募集を進めました。

  • 2022/11/25 NAGOYA CONNECT@なごのキャンパス
  • 2022/12/13 NEXs Tokyo会員様向け@オンライン
  • 2022/12/15 オンライン説明会@オンライン

その他、個別問い合わせや本ホームページ活用を通じたスタートアップ募集を行いました。

事業会社間での進捗共有定例会

今年度NAGOYA Movementに参加した6事業会社がそれぞれの進捗を共有する機会を設定。定期開催することでの進捗のマイルストーンや各社の活動状況を参考にする狙いで開催。互いに気づきを与えながら一緒に活動を盛り上げてもらいました。事業会社間での横連携も進んでいます。

ChatGPT導入・活用セミナー開催

2022年末頃から加速的に知名度を上げた生成AI。その社内導入事例や活用方法に関するセミナーを開催しました。最新技術の社内導入事例を参考に新規の取り組みを社内推進するメソッド等をお持ち帰りいただきました。このセミナーを起点にスタートアップマッチングも実現しております。